『猟奇的な彼女』

クレイジーな彼女に気弱な男が振り回される映画というのは、実は三十年代のハリウッドで流行ったスクリューボール・コメディお得意の世界。ハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』『僕は戦争花嫁』、プレストン・スタージェスの『レディ・イヴ』など、男と女の役割逆転というか、性の倒錯的ギャグを満載したきわどい傑作が多く、ワタシはこのジャンルが大好き。
猟奇的な彼女』にも倒錯的なギャグがいろいろあった。
主人公の青年が彼女にハイヒールを履かされ、「わたしをつかまえて」などと追っかけさせられるシーン。『赤ちゃん教育』にもよく似たシーンがあって、二枚目ケーリー・グラントキャサリン・ヘップバーンに衣服を奪われ(?)、何も身につけるものがないので彼女のネグリジェを纏って走り回っていた!(あげくに彼女の叔母と鉢合わせになって変態呼ばわりされてしまう!)
猟奇的な彼女』には、彼が一緒に酒を飲んだ女と男子便所で隣り合わせ! なんてギャグもあった。
この監督、案外ホークスをよく見ているのじゃないか、などと思いながらニンマリ笑ってしまった。
ラストにホロリとさせるのは、スクリューボール・コメディのオチとして当然と思った。

赤ちゃん教育 [DVD] FRT-117

赤ちゃん教育 [DVD] FRT-117

赤ちゃん教育 [DVD]

赤ちゃん教育 [DVD]

僕は戦争花嫁 [DVD]

僕は戦争花嫁 [DVD]

レディ・イヴ [DVD]

レディ・イヴ [DVD]