2004-01-01から1年間の記事一覧

①ブラザーフッド ②殺人の追憶 ③インファナル・アフェア 無間序曲 ④ロスト・イン・トランスレーション ⑤マッハ! ⑥ミスティック・リバー ⑦パリ・ルーヴル美術館の秘密 ⑧コールドマウンテン ⑨ロスト・メモリーズ ⑩ターミナル 『シルミド SILMIDO』『僕の彼女を…

①血と骨 ②スウィングガールズ ③誰も知らない ④赤目四十八瀧心中未遂 ⑤珈琲時光 ⑥隠し剣 鬼の爪 ⑦蕨野行 わらびのこう ⑧深呼吸の必要 ⑨下妻物語 ⑩クイール 04年の日本映画はとても充実していた。 『ジョゼと虎と魚たち』『油断大敵』『きょうのできごと a d…

『珈琲時光』

鬼子母神前(雑司ヶ谷あたり)から鉄道を使って神田神保町の古書店街へ出かけるにはいくつかのルートがある。ひとつは、都電荒川線の東池袋で地下鉄有楽町線に乗り換え、飯田橋でさらに総武線に乗り継いで御茶の水に至るルート。ふたつ目は、都電荒川線で大…

『誰も知らない』

襟を正し、脱帽せずにはおれない映画が年に一、二本はある。『誰も知らない』がまさにその一本だった。 映画の冒頭、羽田に向かうモノレールの中で、四人兄妹の長兄が大きなトランクを慈しむように撫でる。もしもこのカットが時間の流れどおりの位置に置かれ…

『列車に乗った男』

いつの頃からか、未来について語ることをやめ、過去を振り返ることが多くなった。それは多分、残された時間よりもはるかに多くの時間を生きてしまった、ということを実感しはじめた頃からだろうか。 映画の冒頭、印象的な場面があった。初老の銀行強盗(ジョ…

『スウィングガールズ』

『ザッツ・エンタテインメント』以来、ミュージカル・音楽映画には眼がないので大いに期待はしていたが、日本映画はこれまでこのジャンルに伝統がなく(マキノ雅弘作品は別!)、一抹の不安がなかったワケではない。 ところがどうして、これはホントに心が浮…

『ブラザーフッド』

『プライベート・ライアン』の終盤にこんな場面があった。瀕死のトム・ハンクスが迫り来る独軍戦車に向かって小銃で緩慢な発砲を続ける。誰もが「無益!」と思ったその瞬間、戦車は爆発炎上。実は友軍の戦闘機が間一髪空爆したのだった。これは、紛れもなく…

『グッバイ、レーニン!』

フランク・キャプラの人情噺(『一日だけの淑女』とそのリメイク『ポケット一杯の幸福』)や、キャプラ映画の見事なイタダキである数々の吉本新喜劇をちょっと思い出させてくれる。 善意で始まった嘘もいつかはバレてしまう。『グッバイ、レーニン!』でも、…

ジェリー・ゴールドスミス逝く

三十年代のLA。元警官で今は私立探偵をやっているジェイク・ギテス(ジャック・ニコルソン)のオフィスを上品な中年の女性が訪れ、夫の素行調査を依頼する。ジェイクはさっそく依頼人の夫を尾行、愛人らしい若い娘と一緒の現場を写真に収める。その証拠写…

『真珠の耳飾りの少女』

映画に登場する肖像画はどうも亡霊と結びつくことが多い。たとえばヒッチコックの『レベッカ』や『めまい』。主人公は、肖像画に描かれた女性の霊や呪いにさいなまれるという設定。肖像画そのものが、亡くなった妻や恋人といった最愛の人物の面影をとどめよ…

『パリ・ルーヴル美術館の秘密』

これは面白かった。 ローラースケートに油圧ポンプの大型クレーン、はたまた美女が放つ拳銃の残響。およそ美術館には不釣り合いな大道具小道具たちが意外な役割で登場し、見る者を楽しませてくれる。 古今東西の貴重な美術品が雑然と並べられ、思いのほかぞ…

『下妻物語』

幾分腫れぼったいような一重まぶた、やや張りだした顎の線にちょっと淫らな唇。深田恭子の容貌は若い頃の若尾文子にとても似ていると思う。 若尾文子は、明朗快活で笑顔の可愛い小娘かと思えば、溝口健二や増村保造の映画では、強烈な色香で男たちを惑わせ破…

『深呼吸の必要』

タイトルに惹かれて見に行った。 本土から沖縄にやってきた七人の若者たちが、日給五千円でサトウキビの収穫作業に従事する。ただそれだけを描く映画。 七時起床。朝食を摂ってサトウキビ畑に行き、収穫作業。日が落ちると雇われ先の農家に帰宅。そして晩御…

『ロスト・イン・トランスレーション』

今年前半ではこれが一番気に入っている。 東京は不思議な都市で、出張で一日歩いたりするとひどく疲れるのに、すぐにまた行きたくなったりする。それは、絶えず変貌し増殖し続ける街の混沌とした風景こそが、この街の魅力だからだろうと思っている。だから、…