2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『カーテンコール』

団塊の世代(昭和二十二年から二十四年生まれ)が就職や進学のために故郷を離れていったのは昭和四十年代のはじめ頃から半ば頃にかけて。テレビ受像機が大半の家庭に普及して映画館から観客の足がすっかり遠のいてしまったこの時期、若者の多くが都会をめざ…

脚本家・鈴木尚之さん逝く

脚本家の鈴木尚之さんが亡くなった。 東映の企画本部在籍中に内田吐夢監督の抜擢で『宮本武蔵』の脚本に参加。『宮本武蔵』全五部作のほか、同監督の代表作のひとつ『飢餓海峡』や加藤泰監督の『沓掛時次郎・遊侠一匹』などを書いた。 内田吐夢と最晩年を共…

『ALWAYS 三丁目の夕日』

VFXの成果と美術の素晴らしさに目を瞠った。『スパイ・ゾルゲ』と比べても格段の進歩。 上野駅の場面など、群集の動きに多少の不自然さが残っているものの、旧駅舎の外観など、驚くべき精巧さ。今にも笠智衆と東山千栄子の老夫婦が現れそうなほど。 青森から…

『時代劇ここにあり』をめぐって川本三郎さんを研究する

川本三郎さんが時代劇について語るのは意外な感じがする。しかし『時代劇ここにあり』(平凡社)は、まぎれもなく川本さん一流のマイナー志向、美学が徹底していて実に面白い。 繁栄する都会よりも鄙びた寒村、大通りではなく路地裏、勝利者より敗残者、颯爽…

『マルチュク青春通り』

『マルチュク青春通り』は一九七八年、軍事政権下の韓国が舞台。翌年の七九年には当時の大統領パク・チョンヒが暗殺される事件が起こった。この事件は、大統領専任の理髪師をソン・ガンホが演じる『大統領の理髪師』でも描かれていた。 その『大統領の理髪師…