2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

アカデミー賞雑感

アカデミー賞候補が発表された。 意外だったのは『硫黄島からの手紙』が外国語映画賞ではなく作品賞の方にノミネートされたこと。 『硫黄島からの手紙』は全編ほとんどが日本語。だから、ノミネートがあるとすれば当然外国語映画賞の方だろうと思っていた。…

『それでもボクはやってない』

周防正行監督・脚本の『それでもボクはやってない』は、社会派エンターテインメントとして群を抜いた面白さ。気が早すぎるけれども、今年度、本作以上に面白い日本映画はまず出てこないと断言できる。 冤罪裁判といえば今井正監督の『真昼の暗黒』が即座に思…

『黒澤明vs.ハリウッド』

黒澤明の『トラ・トラ・トラ!』監督解任事件は、日本映画史上の謎である。当時のキネマ旬報編集長・白井佳夫氏によるルポなど、事件の真相に迫ろうとする試みがまったくなかったわけではないが、物的資料が国内にあまり残されていないことや関係者の多くが…

続・映画検定受検始末〜1級篇

キネマ旬報主催の映画検定・1級に合格。 得点は76点(満点は79点)で、トップに惜しくも1点差。 まア、我ながら上出来じゃないでしょうか。 仮にこれが国家公務員Ⅰ種試験であれば、ワタシも高級官僚への道をまっしぐら、というところなのだけれど、映画検…

美術監督・内藤昭さん逝く

内藤昭さんは大映京都撮影所の全盛時代を支えた映画美術監督。監督の池広一夫、井上昭と同期で、同じ美術監督の西岡善信さんの四年後輩にあたる。 溝口健二の『お遊さま』『近松物語』『新・平家物語』などのセット・デザインを担当後、美術監督に昇進。代表…

『酒井家のしあわせ』

監督の呉美保は、タイトルは忘れたけれど何かの映画で記録係をやっていた。 記録、つまりスクリプトの仕事は撮影されたショットの一切を記録すること。たとえば今撮影中のショットに出ている俳優がどんな衣装を着ていて、カット尻では手足の位置がどこにあっ…