2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『珈琲時光』

鬼子母神前(雑司ヶ谷あたり)から鉄道を使って神田神保町の古書店街へ出かけるにはいくつかのルートがある。ひとつは、都電荒川線の東池袋で地下鉄有楽町線に乗り換え、飯田橋でさらに総武線に乗り継いで御茶の水に至るルート。ふたつ目は、都電荒川線で大…

『誰も知らない』

襟を正し、脱帽せずにはおれない映画が年に一、二本はある。『誰も知らない』がまさにその一本だった。 映画の冒頭、羽田に向かうモノレールの中で、四人兄妹の長兄が大きなトランクを慈しむように撫でる。もしもこのカットが時間の流れどおりの位置に置かれ…

『列車に乗った男』

いつの頃からか、未来について語ることをやめ、過去を振り返ることが多くなった。それは多分、残された時間よりもはるかに多くの時間を生きてしまった、ということを実感しはじめた頃からだろうか。 映画の冒頭、印象的な場面があった。初老の銀行強盗(ジョ…