2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『いつか読書する日』

最近の日本映画のひとつの傾向として、大袈裟な身振りや怒号、感情を露わにする表現が昔ほどではなくなってきたように思う。進富座上映作品では、たとえば『さゞなみ』『船を降りたら彼女の島』『犬猫』や『帰郷』など、登場人物は決して泣き叫んだり怒鳴っ…

『ニライカナイからの手紙』

上田秋成の原作を映画化した『雨月物語』には、出奔したまま行方知れずになった亭主の帰りを待ちわびながら、亡霊となってわが子を見守る母が描かれていた。『ニライカナイからの手紙』の母は、この『雨月物語』の田中絹代が演じた母を思い起こさせる。わが…

『帰郷』

小さな小さなロードムービー。後味がとても爽やかで、映画館を出る頃にはささやかな幸福感に満たされる。 東京から帰郷した晴男は、八年ぶりに初体験の相手・深雪と再会する。彼女には七歳になる娘・チハルがいる。「あなたに目元がそっくり」。そう言い残し…

『さよなら、さよならハリウッド』

一本一本が勝負のハイリスクな映画製作の世界で、ほぼ毎年一作のペースでコンスタントに撮り続けるウディ・アレンの存在は貴重。彼の映画を見ていると、行きつけの店の定位置に腰掛けたときのような安堵感を覚えてしまう。馴染みの空気にお決まりの味、そし…

『恋は五・七・五!』

『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』との類似性を指摘する声があるけれど、これはむしろ『シコふんじゃった。』の俳句版。 統廃合(廃部)の危機に瀕した高校(相撲部)が、俳句(相撲)の大会で強豪校(大学)を倒して優勝するという展開がまず…