2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『パッチギ!』

偶然本屋で見つけた『パッチギ! 対談篇』を読んだ。とても面白かった。 著者はシネカノン代表の李鳳宇(リ・ボンウ)さんと評論家の四方田犬彦氏。ふたりがそれぞれの生い立ちから青春時代を語り合う対談形式の本で、映画の話題は意外にも少ない。 ご存じの…

『ミリオンダラー・ベイビー』

尊敬する映画評論家のひとり、森卓也氏は本作を評して「もしマギーが男なら、ガンさばきを習う若者という西部劇のルーティン通り。」と書いていた。卓見である。が、ワタシが思い出していたのは、西部劇でもボクシング映画でもない、『イースター・パレード…

『ミリオンダラー・ベイビー』

カソリック教徒でゲール語を理解する大柄の男、フランキー(クリント・イーストウッド)がアイルランド系移民の子孫に違いないことは、容易に察しがつく。 そのフランキーがいつも暗誦しているイエーツの詩の中に、イニスフリーという地名が出てくる。イニス…

『岸辺のふたり』

台詞も字幕もない、わずか八分およそ百カットだけで、人生に起こることのすべてを映し出していた。 父との別れ、成長、友だち、恋、家族、思い出、老い、そして彼岸での父との再会。 自転車の車輪の反復繰り返しによって、幼い少女が老婆になるまでの長い長…

『ザッツ・エンタテイメントPART2』『ザッツ・ダンシング!』『ザッツ・エンタテインメントPART3』

『2』は、マルクス・ブラザースのコメディやキャサリン・ヘップバーン&スペンサー・トレイシーの共演作なども加えられていて、それなりに面白く大変貴重ではあるのだけれど、ミュージカル映画ファンとしては少々冗長なところがあり、正直不満が残った。 ジ…

『ザッツ・エンタテインメント』

NHKーBSで連続放映された『ザッツ・エンタテインメント(1〜3)』と『ザッツ・ダンシング!』を楽しんだ。疲れ果てた中年にこういう映画は本当にありがたい。 特に『1』は、三十年前に初めて見て以来、最も繰り返し見た映画。何度見ても豪華で楽しく…

『犬猫』

ベージュ色の布地に“犬猫”というタイトル文字が浮かび上がったとたん、身構えた。近頃急激に増殖し続けているらしい小津信者の、これは猿真似映画ではないか、と思ったからである。しかしそれが杞憂に過ぎないことは、じきに判った。 東京の郊外(国分寺あた…