2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『ゆれる』

『ゆれる』は、西川美和という、恐ろしく感覚の研ぎ澄まされた女性監督の子宮内で育まれ、産み落とされた驚嘆すべき傑作である。 山梨の山村で香川照之がガソリンスタンドを経営している。そこを手伝っているのが真木よう子。彼女はかつて、香川の弟で母の一…

『プルートで朝食を』

映画ファンなら、アイルランドといえばジョン・フォードの『静かなる男』。スティーヴン・スピルバーグが『E.T.』に引用し、クリント・イーストウッドが『ミリオンダラー・ベイビー』でオマージュを捧げた作品。映画人に最も愛された“映画の中の映画”の一本…

『胡同のひまわり』

中国が改革開放政策で飛躍的な経済成長を遂げて以来、一定の制約があるものの中国映画は表現の幅を徐々に広げ、扱う題材も随分多彩になってきた。その結果、中国映画は世界の中でも重要な地位を占め、アン・リーのように渡米してアカデミー監督賞を取るよう…

『グエムル 漢江の怪物』

あの『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督の第三作。『殺人の追憶』で田舎者の刑事を演じたソン・ガンホがちょっと愚鈍な主人公で再登場。同作で限りなく“クロ”に近い容疑者を演じたパク・ヘイル、『リンダリンダリンダ』で昨年一番のお気に入り女優になったペ…

『ローズ・イン・タイドランド』

『ブラザーズ・グリム』で資本に妥協したテリー・ギリアムが、奔放自在に描くワンダーランド。ただし、かなりえげつない描写もあって、食生活の違うワタシとしては少々辟易した部分も。“通”を自認する方はどうぞ、といった映画。ジェフ・ブリッジスの役者根…

『スーパーマンリターンズ』

上質の恋愛映画として楽しめる。スーパーマンがロイス・レインと宙に漂う場面など、実にうっとりさせられる。スーパーマン役のブランドン・ラウスはまったく違和感なし。冒頭のタイトル場面も見もの。

『喜劇・女は男のふるさとヨ』

初期の『男はつらいよ』シリーズを思わせるパワフルな作品。それもそのはず、監督の森崎東はスタート当初の『男はつらいよ』シリーズの脚本家でもあった。車寅次郎の破壊的なキャラクターの造形は、森崎東のものであったといわれる。主役のストリッパー・倍…

『ニッポン無責任時代』

クレージー・キャッツの本領は、一に舞台、二がテレビで、映画は三番目と言われる(小林信彦氏)。ワタシは舞台を見たことがない(舞台の録画は見たことがある)ので断言はできないが、映画よりテレビの方が断然面白いのは確か。クレージー(植木等)主演映…

『笑う大天使』

トシのせいか映画館で居眠りすることも最近多い。『スウィングガールズ』『亀は意外と速く泳ぐ』ですっかりお気に入りの上野樹里嬢を見に行った本作は、近頃では最も爆睡できた一本。批判ではなく、真夏の暑い午後、空調の効いた映画館で昼寝するのも、考え…

『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』

事故で死にかけた須賀健太少年(相変わらず達者な演技を見せる)が、幽霊の少女によってこの世に引き戻されるという設定が、終戦直後のイギリス映画『天国への階段』をちょっと思い起こさせるファンタジー。篠原涼子が『THE有頂天ホテル』に続いて母親役を好…

『ラフ』

昨今の日本映画の好調ぶりをうかがわせる映画。こういう何でもないアイドル映画がさりげなくコンスタントに出てくるようになれば、日本映画界も強いと思う。日本映画の伝統的な強さは、構えがそれほど大げさでない、いわば番線映画的な作品の中にある。かく…

『間宮兄弟』

『かもめ食堂』同様、主人公の兄弟(佐々木蔵之介、ドランクドラゴンの塚地武雅)の、ある意味とても現代人ばなれした謙虚で慎ましい生活ぶりが共感を呼ぶ。終始画面に溢れているふたりと彼らの母親(中島みゆき)の微笑みを眺めていると、観客のこちら側ま…

『かもめ食堂』

本作の魅力は、何とも言えないゆるやかな時間の流れ。急がない、あくせくしない、質素な生活を楽しむ、という小林聡美、もたいまさこ、片桐はいりらの生き方が観客の心をがっちり掴んだ。こんな生き方が今の日本人には何よりも必要、ということをズバリ提言…

『雪に願うこと』

何よりもがっちり作られた映画である点を評価したい。根岸吉太郎ももはやベテラン。腰を据えた演出振りが頼もしい。厩舎で男たちの身の回りの世話を焼く小泉今日子の存在感が光る。伊勢谷友介は『嫌われ松子の一生』に続く好演。

『日本沈没』

今秋公開される『日本以外全部沈没』には期待している。そこでまず本編を見ておくことに。オリジナルを見ておかないとパロディは楽しめませんからね。それにしても、柴咲コウはこんな誰でも構わない役など蹴って『嫌われ松子の一生』に出るべきだった。つく…

朝夕秋めいてきた。 久々の日記。あまりの暑苦しさに、ついつい更新をサボってしまいました。 まめに更新していらっしゃる御仁には敬服いたします。 今夜は今夏に見た映画の感想など、まとめて・・・・。