『僕のスウィング』

ジャズの醍醐味は何と言っても偶数拍にリズムの力点を置くことから生まれる強烈なスウィング感。
ジャンゴ・ラインハルトとフランス・ホットクラブ五重奏団の演奏の魅力は、ギターが奏でる駆け足のようなリズムが生み出すスウィング感と、バイオリンが奏でるジプシー(ロマ)音楽独特の哀切感が見事に溶け合っているところだろうか。
ジャンゴを初めて聴いたのはルイ・マル監督の『ルシアンの青春』のメイン・タイトル場面。(蛇足ながら、今でこそポピュラーなサティを初めて耳にした『鬼火』、マイルス・デイビスを初めて知った『死刑台のエレベーター』もルイ・マルの作品。好き嫌いは別にして、ルイ・マルは音楽の使い方がとても巧いと思う。)
以来、ジャンゴのジャズ・ギターは大好きだけれど、『僕のスウィング』を見ると、ジプシー(ロマ)にとって彼はいまだにとても偉大な存在なのだということがよくわかる。
『僕のスウィング』の本筋は実はそのジャンゴとはあまり関係がなく、家族と離れてひと夏を異郷で過ごす少年の、ジプシー(ロマ)の少女に対する淡い恋心を描いたせつなくも儚い初恋の物語。
小さな恋のメロディ』『おもいでの夏』、そして『ごめん』・・・・“初恋映画名作の系譜”とでもいうものがあれば、是非ともそれに加えたい一本。

ルシアンの青春 [DVD]

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鬼火 [DVD]

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死刑台のエレベーター [DVD]

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おもいでの夏 [DVD]

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小さな恋のメロディ [DVD]

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