どうする? 『タッチ』

あだち充の『タッチ』は、まずTV版アニメを見て、その後原作コミックもすべて読んだ。マンガをあまり読まないワタシとしては異例中の異例で、いったいどこが気に入ったのか、今となってははっきり思い出せないけれど、特に印象に残っているのは、台詞の少なさととても静かだったところ。
TVは多少目を離していても筋書きが追えるように説明的な台詞を多用する。ところが『タッチ』は、騒々しい音が絶え間なく画面を覆いつくしていたそれまでのアニメとは違って、ほとんどまったく音がない(音を感じさせない)画面が目立っていたように思う。特に弟・和也の事故死を描いた回がそうだった。そんな静けさが当時は実に新鮮に思えた。
達也、和也の双子兄弟と浅倉南という女の子の奇妙な三角関係が、何となくトリュフォーの『突然炎のごとく』を思わせるところも好きだった理由のひとつ。あだち充は、実は『突然炎のごとく』という映画が大好きだったのではないか(この点は、原作者本人に是非とも伺ってみたいところだが)・・・・そう思っていたら、実際『突然炎のごとく』がリバイバル上映されている映画館の前のシーンが出てきてビックリしたことがある(ちなみに今月18日付けの中日新聞でも小林信彦氏が、映画版『タッチ』の批評で“『突然炎のごとく』を連想した”と書いている)。
さて、映画版『タッチ』の評判が上々のようである。TV版アニメも原作コミックも大好きなワタシとしては、見るべきか見ざるべきか、非常に迷っている。長澤まさみチャンが浅倉南のイメージに合っているかどうかも気になるところ。
このあいだシネ・コンに行ったときは迷ったあげく『NANA』の方を見てしまったのだ。さて、どうする・・・・。