05年を振り返る(その1)〜日本映画*女優篇

今年も残りあとわずか。
映画で一年を振り返ることは、映画好きに与えられたささやかな楽しみのひとつ。
一回目の今夜は、日本映画の女優篇。
衆目の一致するところ05年は田中裕子の年。『いつか読書する日』『火火』の二本で各賞の主演女優賞総なめは間違いなし。他にも『埋もれ木』に出演。大活躍の一年だった。
対抗馬はほとんど見当たらないけれど、同世代ということでは『透光の樹』の秋吉久美子。三十数年ぶりに再会した男との恋に身も心も燃え上がる中年女性を演じて、彼女本来の持ち味を発揮した。
ベテラン勢では、『春の雪』で往年の大映映画の屋台骨を支えたふたりの女優、若尾文子大楠道代の共演が実現。若尾文子の圧倒的な存在感が素晴らしく、大楠も若い主演スターを支える好演ぶり。大楠は当地で年明けに公開される『空中庭園』も控えている。藤村志保も『カーテンコール』で健在ぶりを見せた(『二人日和』は当地では年明けに公開)。
若手では『パッチギ!』で朝鮮高校の女生徒を演じた沢尻エリカ、『タッチ』で南役を演じた長澤まさみが断然可憐。『リンダリンダリンダ』で女子高生バンドを組んだペ・ドゥナ前田亜季香椎由宇関根史織も個性的で印象深い。香椎由宇は『ローレライ』でも活躍。
ALWAYS 三丁目の夕日』『逆境ナイン』の堀北真希はただのアイドルではなく演技も達者。『亀は意外と速く泳ぐ』で何と夫が単身赴任中の人妻役を演じた上野樹里は、相変わらずの名コメディエンヌぶり。
さらに若いところでは『ニワトリはハダシだ』『帰郷』の守山玲愛。この子の巧さには脱帽。『カナリア』の谷村美月も将来が楽しみ。
中堅では柴咲コウ。わざとブスのメイクで挑んだ『メゾン・ド・ヒミコ』が新境地で、スチュワーデス(今はフライング・アテンダント?)姿がたまらなく魅力的。薬師丸ひろ子は『ALWAYS 三丁目の夕日』で早くもお母さん役。時の移ろいを感じさせる。『春の雪』の竹内結子は超売れっ子で多忙を極めているのか、肌の荒れが目立ち少々幻滅。休養を勧めます。
以上、今年の日本映画で印象に残った女優。常識的には田中裕子がベスト女優、となるところだけれど、銀幕では演技の巧さよりも存在感が何より大事、と信じるワタシにとって“05年に最も印象に残った女優”は・・・・
リンダリンダリンダ』のペ・ドゥナかな?
さらにもうひとり付け加えれば、『NANA』でTRAPNESTのリード・ヴォーカル、REIRA役を演じた伊藤由奈
彼女の歌う“ENDLESS STORY”は大のお気に入り。今年の映画主題歌最大の収穫だった。NHK紅白歌合戦初出場もおめでたい。