05年を振り返る(その2)〜日本映画*男優篇

今、最も旬な男優といえばオダギリジョー。05年には『パッチギ!』『メゾン・ド・ヒミコ』『イン・ザ・プール』『オペレッタ狸御殿』『スクラップ・ヘブン』『忍 SHINOBI』など出演作が立て続けに公開された。去年の『血と骨』、その前の『アカルイミライ』を見ても彼が単なる二枚目スターでないことは明らか。将来楽しみな逸材だけに、消耗品扱いせずじっくり映画界ぐるみで育ててもらいたいもの。
地味ながらもうひとりの旬な男優が西島秀俊。『犬猫』『カナリア』『帰郷』『メゾン・ド・ヒミコ』に出演。脇役が多いけれど、『帰郷』では父性に目覚める青年を演じて印象深い。
岸部一徳も出演本数では負けていなかった。『いつか読書する日』『火火』『理由』『ニワトリはハダシだ』など、どれも充実した仕事ぶり。
同じ中年組では、『さよならCOLOR』の竹中直人、『トニー滝谷』のイッセー尾形がいるけれど、竹中が原田知世の同級生というのは少々無理があるし、美大生役のイッセー尾形は若づくりにも限度があることを見せつけた。次回作では身の丈にあった配役でお願いします。
若手では妻夫木聡が『ローレライ』『春の雪』で気を吐いた。『四日間の奇蹟』『ALWAYS 三丁目の夕日』の吉岡秀隆はあいかわらず巧い。吉岡は新年に『博士の愛した数式』が控えている。楽しみ。
ALWAYS 三丁目の夕日』で吉岡秀隆と共演した須賀健太は末恐ろしい子役。『妖怪大戦争』の神木隆之介とともに期待の星。
年末の意外な拾いもの(と言っては失礼だけれど)が『カーテンコール』の藤井隆。これが当たり役になるかも知れない。
以上の中で今年最も印象に残った男優は、『いつか読書する日』でめずらしく主役を演じた岸部一徳。脇に回った『ニワトリはハダシだ』も良かった。