05年を振り返る(その3)〜外国映画*男優篇

『ビヨンドtheシー』でボビー・ダーリンを吹き替えなしで歌いまくり監督までやってのけたケヴィン・スペイシーも凄いけれど、『チャーリーとチョコレート工場』のジョニー・デップは、自閉症気味で子供っぽい成金の億万長者、ウィリー・ウォンカ役に実によくハマっていた。『ネバーランド』『ティム・バートンのコープスブライド』と併せて今年最も印象に残る男優は文句なしにジョニー・デップ
インパクトの強烈さで負けていないのは、同じく『チャーリーとチョコレート工場』のディープ・ロイ。バズビー・バークリー調の舞踏シーンと、あの個性的な顔は一生忘れない。
ソン・ガンホも『大統領の理髪師』で相変わらず達者なところを見せていたが、彼にしては水準の出来映えか。昨年の『殺人の追憶』といい今年の『復讐者に憐れみを』といい、肝心の主演作が当地では公開されていない(『殺人の追憶』は仕方なくDVDで見た)。もし『復讐者に憐れみを』を見ていれば、印象はジョニー・デップ以上だったかも知れず、残念!
ミリオンダラー・ベイビー』のクリント・イーストウッドは素晴らしい。決して演技派とは言えないけれど、スターの存在感はさすがに圧倒的。渋い。同じく『ミリオンダラー・ベイビー』のモーガン・フリーマンも名演。彼のモノローグが作品に風格を与えていた。アカデミー助演賞受賞は当然。
同じくアカデミーの主演賞候補だったレオナルド・ディカプリオも破天荒で奇行の多かったハワード・ヒューズを熱演。どこかオースン・ウェルズを思わせる演技だった。そのオースン・ウェルズを下敷きに人物像を造形したという『キング・コング』のジャック・ブラックが、コングに対抗する強烈な個性を演じて面白かった。
以上の他には『ヒトラー 〜最期の12日間〜』で本物にかなり迫っていたブルーノ・ガンツ、『シンデレラマン』で実在のボクサーを演じたラッセル・クロウ、『甘い生活』でハードボイルドな殺し屋を演じたイ・ビョンホン、『マルチュク青春通り』でブルース・リーに憧れる高校生を演じたクォン・サンウ(『恋する神父』は未見)、『四月の雪』で妻に裏切られた照明技師を寡黙に演じたペ・ヨンジュン、無愛想で無口な中年の工場主を演じた『ウィスキー』のアンドレス・パソスらが印象に残った。