映画検定受検始末

先月最後の日曜日、キネマ旬報社主催の映画検定(2級)を受検。
その検定の模範解答がキネ旬7月下旬号に掲載されていた。さっそく自己採点したところ、60問中6問が誤答。正答率は90%と判明。
(誤答のうち3問が映画祭がらみの問題。データベース的な知識問題がどうやら苦手。)
ただし、センター試験はおろか、共通一次試験さえまだなかった世代の、マークシート方式にまったく不慣れな受検生だから、解答欄のマーキングがズレてしまったかも知れず、得点にはまったく自信がない。
合否は相対評価で判定されるらしいので、受検者全体のレベルが分からない以上、予測もつかない。が、十二月に実施される第二回検定で、今回の2級合格者だけが受検できる1級の受検者を、主催者側としては営業上ある程度確保して採算を合わせたいだろうから、合否ラインはあまり厳しくできないはず。かといって甘すぎるのも業界の沽券にかかわるから、合否ラインは両方の兼ね合い、ということか。とにかく通知が届くまでのお楽しみ、ではある。
ところで、三十数年前に購読し始めた頃のキネ旬といえば、当時編集長だった白井佳夫氏が誌面を読者に開放したり歯に衣着せぬ論陣を張って、今とはまるで様相の違う自由でユニークな気風の誌面づくりをやっていた(そのために白井氏は社主から疎まれて編集長をクビになり、彼を支持する読者の多くが同時期にキネ旬を離れた)。同人誌かミニコミ誌に毛の生えたような手作りの良さもあって、貧乏な雑誌だったけれど、そこがかえって魅力だった。
ひるがえって、業界(配給会社)の傘下に入っている今のキネ旬は、昔とは比べものにならないくらい商売が上手。検定ブームにあやかって映画好きの耳目を集め、その自尊心をくすぐる逞しい商魂には舌を巻いてしまう。検定の採算ラインがどの程度なのかは知らないけれど、物議をかもしながらも一万人近い受検者を集めた営業努力(これだけで売上なんと約四千万円!)はたいしたもの。
『公式テキスト』『公式問題集』の売上と合わせれば、いったいいくら儲かったのか。「映画バカからカネを巻き上げるなんザ、ワケないネ。」とほくそ笑む業界人の顔が目に浮かぶようでは、ある。ワタシもまんまと騙されて『公式問題集』だけは買ってしまったから、エラそうなことは言えないのだけれども・・・・
その『公式問題集』、試験前にトライしてみたのだけれど、「これは付け焼刃で勝負できる代物ではない」という結論に達し、検定当日電車の中でパラパラめくるまでほったらかしにしておいた。ところが、ぎりぎりで会場に到着すると、大勢の受検者の方々が黙々と対策本に目を通していらっしゃるではないか。これには正直ギョッとした。検定は本来実力で勝負すべきもの。間際まで必死の形相で暗記に励む姿は、何とも見苦しい。皆さん、お遊びです、もっと気楽にやりませんか。
さて、(もし2級に合格していたら次回挑戦したいと思っている)1級の検定には、ぜひとも記述式、論述式も採り入れていただきますよう、主催者側にはお願いします。