『記憶の棘』
ローレン・バコールをこんな風にしか使えないことが、まずいけない。
ニコール・キッドマンとのツー・ショットでバコールにピントを合わせていないとか、バコールが台詞をオフ(画面外)で喋るとか・・・・これでは、キャリア六十年のハンフリー・ボガート未亡人に出演してもらっている意味がない。いったいこの監督は、彼女が誰だか分かっているのだろうか。
二点目。ワタシが脚本家なら、この深刻で思わせぶりなくせにほとんど無意味とも思える台本を全面的に書き換えて、バコールの役(キッドマンの母)に、もっと重要な役割を持たせたい。
たとえばこんな風に・・・・。
キッドマンの死んだ夫であると主張する少年は、本当に死んだ夫の生まれ変わりで、バコールだけがそのことに気づく。少年はバコールとふたりで、キッドマンの幸福を願って再婚の手助けをする。キッドマンが再婚して幸せになったことを見届けた少年はどこかに消える。バコールだけが少年の行き先を知っている・・・・とまあ、こんな感じで。基本的にはファンタジックなコメディ。その方が後味が良いでしょう。
もうひとつ思い浮かんだストーリー。
キッドマンの前に、自分はキッドマンの夫だと言い張る男が現れる。キッドマンは彼を全然知らない。しかしまわりの友人たちは全員、彼がキッドマンの夫だと主張する。キッドマンはそんなはずはないと反論する。友人たちはキッドマンを病人扱いし入院させようとする。キッドマンは追い詰められる。そしてとうとう、こう叫ぶ。「夫のはずがないわ。」「だって、夫は私が殺したんですもの!」
このストーリー、実は『生きていた男』という古い映画のパクリなんですけどね(笑)・・・でも、少なくとも『記憶の棘』よりは気が利いているでしょう?
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