アカデミー賞雑感

アカデミー賞候補が発表された。
意外だったのは『硫黄島からの手紙』が外国語映画賞ではなく作品賞の方にノミネートされたこと。
硫黄島からの手紙』は全編ほとんどが日本語。だから、ノミネートがあるとすれば当然外国語映画賞の方だろうと思っていた。ノミネートの基準は判然としないけれど、まずはめでたし。
硫黄島二部作のもう一本『父親たちの星条旗』がノミネートされなかったのは、やっぱりという感じ。
あの有名な写真が実はヤラセで、国は兵士たちを英雄に仕立て上げて戦時国債キャンペーンに利用したという苦い内容が、アカデミー会員のお気に召さなかったのだろう。マッチョな英雄が大好きな国民性がモロに出た。その点『硫黄島からの手紙』は日本軍のお話なので、作品としての力が率直に評価されたのだろう。
菊地凛子助演女優賞にノミネートされたのもおめでたい。『バベル』という作品で聴覚障害者役を演じたらしいけれど、某パソコンメーカーのCMで木村拓哉と共演したのは彼女とか。知らなかった(恐縮)。
アカデミーは伝統的にハンディキャッパー演技に弱い。『奇跡の人』のパティ・デューク、『レインマン』のダスティン・ホフマン、『ジョニー・ベリンダ』のジェーン・ワイマン、『愛は静けさの中に』のマーリー・マトリン、『セント・オブ・ウーマン』のアル・パチーノ、『フォレスト・ガンプ』のトム・ハンクス、『ライアンの娘』のジョン・ミルズなど、ハンディキャッパー演技で受賞した俳優は数多い。彼女もひょっとしたらひょっとするかも。そうなれば快挙だ。