『下妻物語』

幾分腫れぼったいような一重まぶた、やや張りだした顎の線にちょっと淫らな唇。深田恭子の容貌は若い頃の若尾文子にとても似ていると思う。
若尾文子は、明朗快活で笑顔の可愛い小娘かと思えば、溝口健二増村保造の映画では、強烈な色香で男たちを惑わせ破滅へと追いやる魔性の女のイメージが強い。単に色気があるだけでなく、世間や常識と妥協しない強靱な意思を持ち、誰にも依存しない自立した女であるところが最大の特徴だ。
下妻物語』の深田恭子は、若尾の発散する強烈な大人の女の色気にはまだまだ及ばないけれど、田圃ジャスコしかないローカルな町で、風景にまったく不釣合いなロココ調のドレスを身にまとい、世間の眼などお構いなし、ロリータ・ファッションだけに命を懸けて、友だちなんて必要ないとうそぶく彼女の自我の強さに、どこか大女優・若尾のイメージが重なってしまう。
デビューから五年目の『青空娘』(57年)で、若尾は一気に開花した。快作『下妻物語』が深田恭子の『青空娘』になればよいと思います。

氾濫 [DVD]

氾濫 [DVD]

妻は告白する [DVD]

妻は告白する [DVD]

赤い天使 [DVD]

赤い天使 [DVD]

清作の妻 [DVD]

清作の妻 [DVD]

からっ風野郎 [DVD]

からっ風野郎 [DVD]

[DVD]

[DVD]

最高殊勲夫人 [DVD]

最高殊勲夫人 [DVD]