『恋は五・七・五!』

ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』との類似性を指摘する声があるけれど、これはむしろ『シコふんじゃった。』の俳句版。
統廃合(廃部)の危機に瀕した高校(相撲部)が、俳句(相撲)の大会で強豪校(大学)を倒して優勝するという展開がまず同じ。この俳句部(相撲部)は、漢字が書けない帰国子女の生徒(単位が足りない軟派学生)たちを無理矢理引っ張り込んだ間に合わせのガラクタ集団で、中には俳句(相撲)好きなのに一度も投稿が採用されたことがない(勝ったことがない)生徒(相撲部員)もいる。気の弱い彼は、俳句(相撲の三部リーグ)の大会本番では緊張の余りいつも口ごもって(下痢して)しまう・・・・てな具合。
イタダキはそれ自体は悪いことではない。映画の世界では模倣作が本編を凌駕することだってまれではないし、周防正行自身、『変態家族/兄貴の嫁さん』というイタダキの傑作を撮っているくらいだから。
けれども『恋は五・七・五!』には、模倣を越える脚本上の工夫がいまひとつ足りないように思う。生徒たちの個性も類型的。だから笑いも今ひとつハジけない。
監督は『バーバー吉野』の荻上直子。今後に期待します。