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『スルース』

三十五年ほども前に見たジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督の『探偵 スルース』にはまんまと一杯喰わされたことを覚えているけれども、推理ゲーム的な面白さに尽きる映画なので、二度目を見るかと訊かれたらたぶんNoと答える。したがって、リメイク作に期…

『人のセックスを笑うな』

センス抜群だった『犬猫』で大いに気に入った井口奈巳監督。彼女の新作ということで期待していたのだけれど、ガックリ。 『突然炎のごとく』のジャンヌ・モローを思わせるような、つかみどころのない永作博美と、彼女に翻弄される初心な松山ケンイチ、それに…

『アヒルと鴨のコインロッカー』

東京近郊から大学に入学するために東北・仙台にやってきた青年(千葉県出身で東北大学の学生だった原作者がモデル?)が、風変わりなアパートの隣人に書店強盗を持ちかけられる、という意外な発端から始まるこの映画。盗んだつもりの広辞苑が何と広辞林だっ…

『オール・ザ・キングスメン』

"All the King's Men"という映画の存在を初めて知ったのはもう四十年近くも前のこと。確か当時邦題は『すべて王の家来』と直訳されていたけれども、実在の政治家をモデルにしたロバート・P・ウォーレンのピューリッツァ賞受賞小説の最初の映画化であるこの作…

『黄色い涙』

いかにも普段あまり映画を見ていない評論家たちが持ち上げそうな『メゾン・ド・ヒミコ』よりも、純然たるアイドル映画の意匠を纏いながら映画的完成度においては圧倒的な高さを示した『タッチ』を断然好むワタシとしては、犬童一心監督、嵐主演の本作にとて…

『マッチポイント』

ジョージ・スティーヴンス監督の名作『陽のあたる場所』(五一年作品)とあまりに似ているので、そのリメイク、つまりシオドア・ドライサー原作の小説『アメリカの悲劇』の三度目の映画化だと思ったら、そうではなかった。 カンヌでの記者会見で『陽のあたる…

『16ブロック』

「帰り際に上司から仕事を言いつけられるとロクなことはない」というTVスポットに惹きつけられて見に行った。 当直明けで帰宅しようとしていた中年刑事・ブルース・ウィリスが、年下の上司から証人の護送を命じられる。行き先は16ブロック先の裁判所。お安…

『笑う大天使』

トシのせいか映画館で居眠りすることも最近多い。『スウィングガールズ』『亀は意外と速く泳ぐ』ですっかりお気に入りの上野樹里嬢を見に行った本作は、近頃では最も爆睡できた一本。批判ではなく、真夏の暑い午後、空調の効いた映画館で昼寝するのも、考え…

『日本沈没』

今秋公開される『日本以外全部沈没』には期待している。そこでまず本編を見ておくことに。オリジナルを見ておかないとパロディは楽しめませんからね。それにしても、柴咲コウはこんな誰でも構わない役など蹴って『嫌われ松子の一生』に出るべきだった。つく…

『フライトプラン』

脱出不可能な大型旅客機から少女が忽然と消える。機内で少女を見かけた者は誰ひとりいない。果たして少女は拉致誘拐されたのか、ならば乗客やフライングアテンダントは全員が共謀者なのか、それとも少女ははじめから存在していなかったのか・・・・ 予告篇を見た…

『恋は五・七・五!』

『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』との類似性を指摘する声があるけれど、これはむしろ『シコふんじゃった。』の俳句版。 統廃合(廃部)の危機に瀕した高校(相撲部)が、俳句(相撲)の大会で強豪校(大学)を倒して優勝するという展開がまず…