ジューン・アリスン逝く

ジューン・アリスンが亡くなった。
実在の野球選手モンティ・ストラットンの伝記映画『甦える熱球』、そして『グレン・ミラー物語』の両作で演じた主人公(ともにジェームズ・スチュワート)の妻役が、何と言っても印象深い。
彼女には“内助の功”とか“良妻賢母”といった、今となっては古色蒼然とした日本的な形容詞が実に似つかわしい。『グレン・ミラー物語』では、夫のグレン・ミラーが楽団の創設資金に困っていると、何食わぬ顔でへそくりを差し出す。『甦える熱球』では、野球選手のモンティ・ストラットンが事故で片足を失い自暴自棄になると、健気にキャッチボールの相手をつとめたりする。そんな献身的で控えめな妻の役が彼女ほどしっくりくるハリウッド女優もいなかった。
第二次世界大戦中から終戦直後にかけて絶頂期を迎えたために、日本ではMGMミュージカル(たとえば“Good News”“Words and Music”)などの未公開作が多く、真価が十分評価されたとは言い難い。けれど、上記2作でのジェームズ・スチュワートの奥様役、またハスキーヴォイスのチャーミングな女優として、人気は高かった。
ご冥福を祈ります。合掌。

甦る熱球 [VHS]

甦る熱球 [VHS]