訃報

『かあちゃん』

当地では公開されなかった旧作。今回日本映画専門チャンネルで放送されたのを初めて見た。 天保年間、江戸下町の長屋にドケチな一家が住んでいた。“かあちゃん”こと、おかつ(岸恵子)と三人の息子、それに娘の五人家族である。一家は毎月の月初めと十四日、…

ロイ・シャイダー逝く

ポリス・アクションの傑作『フレンチ・コネクション』では、臭いと睨んだら猪突猛進するポパイ刑事の相棒として冷静沈着に行動する刑事を、スティーヴン・スピルバーグの出世作『ジョーズ』ではリチャード・ドレイファスやロバート・ショウとともに人喰い鮫を…

ベルイマン逝く

“訃報”というにはあまりにタイミングを逸しているが、言及しないわけにはいかない大物の死。某紙報道では見出しに“黒澤明監督らと並ぶ巨匠”と書かれてあった(どうして黒澤明を引き合いに出すのか、理由がわからない。記者が、世界中で映画監督といえば、こ…

佐藤真監督、死す

記録映画作家で『阿賀に生きる』などで知られる佐藤真さんが亡くなった。 報道によると、佐藤さんは、昨年うつ病と診断されて以来入退院を繰り返していたが、今月4日、転院の途中、付近の団地に突然駆け上がって階段の踊り場から飛び降りたのだという。49…

美術監督・内藤昭さん逝く

内藤昭さんは大映京都撮影所の全盛時代を支えた映画美術監督。監督の池広一夫、井上昭と同期で、同じ美術監督の西岡善信さんの四年後輩にあたる。 溝口健二の『お遊さま』『近松物語』『新・平家物語』などのセット・デザインを担当後、美術監督に昇進。代表…

ロバート・アルトマン逝く

ロバート・アルトマンが亡くなった。 ワタシにとっては、『ザ・プレイヤー』や『プレタポルテ』などより、何と言っても『ナッシュビル』の人。多彩な登場人物の中から暗殺未遂犯を浮かび上がらせる演出が実に鮮やかな群集劇だった(権利関係の問題か、初公開…

ベティ・コムデン逝く

ベティ・コムデンが亡くなった。 ベティ・コムデンといっても、お若い方にはピンとこないかもしれない。アドルフ・グリーンとのコンビで『踊る大紐育(On the Town)』『雨に唄えば』『いつも上天気』(以上ジーン・ケリーとスタンリー・ドーネン監督)や、ヴ…

ジューン・アリスン逝く

ジューン・アリスンが亡くなった。 実在の野球選手モンティ・ストラットンの伝記映画『甦える熱球』、そして『グレン・ミラー物語』の両作で演じた主人公(ともにジェームズ・スチュワート)の妻役が、何と言っても印象深い。 彼女には“内助の功”とか“良妻賢…

脚本家・鈴木尚之さん逝く

脚本家の鈴木尚之さんが亡くなった。 東映の企画本部在籍中に内田吐夢監督の抜擢で『宮本武蔵』の脚本に参加。『宮本武蔵』全五部作のほか、同監督の代表作のひとつ『飢餓海峡』や加藤泰監督の『沓掛時次郎・遊侠一匹』などを書いた。 内田吐夢と最晩年を共…

中北千枝子さん逝く

新聞の見出しには“黒澤映画に出演”とあったが、むしろ成瀬巳喜男作品の名脇役として忘れられない存在。 成瀬監督は、貧乏暮らしが染みついてだらしがないというか、生活臭の抜けないシケた中年女性の役柄を好んで中北さんに演らせている。たとえば、『めし』…

フランセス・ラングフォード逝く

フランセス・ラングフォードといっても、ちょっと一般の方には馴染みがない。ご存じの方はよほどベテランの映画ファンか、ポピュラー音楽通。 歌手で女優。『グレン・ミラー物語』の終盤、巨大な爆撃機の格納庫の場面で、欧州戦線従軍中のグレン・ミラー楽団…

ジェリー・ゴールドスミス逝く

三十年代のLA。元警官で今は私立探偵をやっているジェイク・ギテス(ジャック・ニコルソン)のオフィスを上品な中年の女性が訪れ、夫の素行調査を依頼する。ジェイクはさっそく依頼人の夫を尾行、愛人らしい若い娘と一緒の現場を写真に収める。その証拠写…