『16ブロック』

「帰り際に上司から仕事を言いつけられるとロクなことはない」というTVスポットに惹きつけられて見に行った。
当直明けで帰宅しようとしていた中年刑事・ブルース・ウィリスが、年下の上司から証人の護送を命じられる。行き先は16ブロック先の裁判所。お安い仕事であるが、ブルース・ウィリスは疲れきっている。しかし上司の命令には逆らえず、しぶしぶ彼は仕事を引き受ける。
ブルース・ウィリスが、昇進にも見放され退職も近づきつつある初老の冴えない刑事を好演する。護送の途中で平気で酒屋に立ち寄ったり、だらしなく突き出た下っ腹といい、『ダイ・ハード』の刑事のなれの果てといった感じがよく出ていて、実に味がある。
さて、護送中の証人が何者かに襲撃されたことから、NYPD(ニューヨーク市警)を敵に回してブルース・ウィリスが壮絶な銃撃戦を展開するアクションの連続になるのだが、大半のショットがクローズアップかバストサイズのどちらかという、まるでテレビのようなカメラワークのために、見えているのは上半身だけというお粗末な画づくりで、とても窮屈。イライラさせられる(フレッド・アステアのダンス・シーンを顔のアップだけで見せる監督はいないでしょう!)。もしもワタシが監督なら、こんなカメラマンは即刻クビ。
監督のリチャード・ドナー(『リーサル・ウェポン』)も、もうろくしたか。