美術監督・内藤昭さん逝く

内藤昭さんは大映京都撮影所の全盛時代を支えた映画美術監督。監督の池広一夫、井上昭と同期で、同じ美術監督西岡善信さんの四年後輩にあたる。
溝口健二の『お遊さま』『近松物語』『新・平家物語』などのセット・デザインを担当後、美術監督に昇進。代表作に『座頭市物語』『座頭市血笑旅』『座頭市地獄旅』や『眠狂四郎勝負』『眠狂四郎女地獄』、それに『陸軍中野学校竜三号指令』『悪名』などのシリーズ作品。ことに市川雷蔵主演の『大菩薩峠』『大菩薩峠竜神ノ巻』での様式美あふれるセット・デザインがワタシには印象深い。
大映のセットは、薄っぺらで安っぽい東映とは断然違って、黒光りする柱や梁、絢爛な襖など、重厚で荘重。今見ても惚れ惚れするくらい美しい。内藤昭さんは、そうした大映美術を支えたスタッフのひとりだった。
七一年に大映が倒産してからは映像京都の設立に参加。ということは、『必殺仕掛人』などのTVシリーズも数多く手がけているはず。『市川雷蔵とその時代』にインタビュー、著書に『映画美術の情念』あり。
ご冥福をお祈りします。合掌。

映画美術の情念

映画美術の情念

市川雷蔵とその時代

市川雷蔵とその時代

閑話休題
キネマ旬報の06年度ベストテンが発表された。
日本映画ではお気に入りの『寝ずの番』(マキノ雅彦監督)『間宮兄弟』(森田芳光監督)『THE有頂天ホテル』(三谷幸喜監督)といったコメディ映画が軒並み選外に。相変わらず日本の批評家は喜劇映画に点が辛い。
が、思い出してみれば、今やコメディの金字塔ともいえるビリー・ワイルダーの『お熱いのがお好き』や『アパートの鍵貸します』だってベストテンには入っていない。ミュージカル・コメディの傑作『雨に唄えば』にいたっては、十位に投票している人がたったひとりだけというありさま。いくら秀作でもしかめっ面ばかりしていたのでは味気ないが・・・・
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