『ブラッド・ダイヤモンド』

「“TIAって分かるか。“This is Africa”って意味さ」とうそぶき、いつの日かアフリカから出て行くことを夢見ているダイヤの密売人レオナルド・ディカプリオが素晴らしい。ニヒルでクールな野心家だがどこかロマンを感じさせる冒険家のにおいがする。60年も前のジョン・ヒューストン監督作品『黄金』の主人公、一攫千金を夢見る砂金掘りのハンフリー・ボガートを連想した。人気スターなのに訛のきつい英語を達者に駆使するなど、あいかわらずの努力家ぶりで、レオ君、なかなかやるわいといった感じ。アカデミー賞主演男優賞ノミネートも大いに頷ける。
紛争の原因にもなっているダイヤモンド(これが題名の由来だそうだ)をめぐって、政府軍と反政府ゲリラ、裏で紛争を操る先進国、ダイヤモンドの密売組織、白人ジャーナリストが入り乱れてのアクション描写も迫力。反政府軍に拉致されて殺人マシンに仕立てられている少年兵の話など、去年公開された『イノセント・ボイス 12歳の戦場』を思い起こさせるけれども、本作はぐっと娯楽映画的な色合いが強いアクション・エンターテインメント。
楽しみつつ疲弊したアフリカの現実が勉強できる社会派の力作。一見の価値あり

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