『あるスキャンダルの覚え書き』

退職が迫った老女教師の、若き美人教師への友情、憧憬、はたまた同性愛ともつかない微妙な感情の襞を描くコワ〜い作品。三十年前頃の日活ロマンポルノによくありそうな題材。けれども、あっけらかんとしたコメディ調になったであろうロマンポルノとは違って、本作はとてもシリアス。
ともあれ、教師を聖職として描きがちな日本映画の世界では、こういう題材はまず取り上げられることはない(映画化すれば教師を冒涜したとして日教組のボイコット運動が起こるかも???)。そういう珍しさも手伝って案外面白かった。
テレンス・スタンプの異常青年が蝶を集めるように美人女性を拉致し監禁するウィリアム・ワイラー監督の『コレクター』さながらに、金髪の若き女性に襲いかかるジュディ・デンチ。相変わらず凄い演技で唸らせる。テレンス・スタンプが美形であっただけに、デンチの老醜が一層際立つ。『007/カジノ・ロワイヤル』のMの私生活もかくや(ダニエル・クレイグに襲いかかる?)、と思わせる?
一方、新米の美術教師を演じるケイト・ブランシェットも負けずに実力を発揮。しかも透けるような肌が何とも綺麗で、つい食い入るように見つめてしまった! 『バベル』での見せ場が少なかっただけに、頑張ったのだろう。どちらかと言えば中性的な魅力が、少年にも老女にも愛される本作の役柄にはぴったり。
ふたりの演技合戦だけでも一見の価値アリ。

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