『インベージョン』

ジャック・フィニー原作『盗まれた街』の四度目の映画化。
最初の映画化作品であるドン・シーゲル監督の『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』は、SF映画史上の傑作と伝えられるが残念ながら未見のまま。過去三作のうちワタシが見ているのは二作目『SF/ボディ・スナッチャー』(監督フィリップ・カウフマン)のみだが、この二作目がなかなか面白いSFホラー。街の隣人たちが地球外生命体に次々と侵食され、外見上は本物と区別がつかない人間たち(正体は宇宙からの生命体)がドナルド・サザーランドたちに襲い掛かる恐怖がサスペンスたっぷりに描かれていた。
時代も移って今回の第四作は、大筋では過去の作品を踏襲してはいるものの、主役が演技派ニコール・キッドマンということもあって、子供を地球外生命体から必死に守る母親の逃亡劇、といった趣きになっている。というより、あからさまなニコール・キッドマンのワン・ウーマン映画になってしまっているので、SFホラーとしての面白みは半減。どうもキッドマンはジョディ・フォスターに対抗心を燃やしているのではないか、『フライトプラン』を意識しているような印象が強い。
肝心の恐怖演出も前半に少し見どころがあるくらいで、せっかくのダニエル・クレイグも見せ場がないままでお気の毒。

フライトプラン [DVD]

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