『ブレイブ ワン』
行きずりの犯罪で恋人を失った女性が犯人たちに復讐するという基本構成が、コーネル・ウールリッチ(ウィリアム・アイリッシュ)の原作をフランソワ・トリュフォーが映画化した『黒衣の花嫁』と同じ。
ただし、加害者を探し出しては次々と色々な手段で殺害してゆく『黒衣の花嫁』のミステリ映画的な趣向とは対照的に、『ブレイブ ワン』では、終盤になってジョディ・フォスターが一気にまとめて加害者たちを殺害するという急展開。
明らかに『ブレイブ ワン』は、復讐劇としての展開を楽しませる映画ではなくて、恋人を殺された女性のエモーションを焦点にした映画。そこには、どうすれば犯罪被害者は救済されるか、という非常に今日的なテーマが含まれている。
映画の中盤、自分だけが九死に一生を得た後、たまたまコンビニ強盗の現場に居合わせたジョディ・フォスターが強盗を撃ち殺すハメになる事件が起こる。この事件がきっかけで彼女は犯罪者を闇で始末する“仕置人”として有名になるのだが、このコンビニでの強盗事件のエピソードが、マーティン・スコセッシの『タクシードライバー』の完全なコピー。
『タクシードライバー』の主人公、ロバート・デ・ニーロは、この強盗事件で初めて人を撃ったのだが、所持していた銃が未登録だったため、店主が正当防衛したことにしてその場を立ち去る。彼はその後、“汚れた街”ニューヨークを掃除するために売春宿を襲撃し、そこから少女を助け出す。その少女を演じていたのが、当時天才子役と謳われていたジョディ・フォスターその人である。
『ブレイブ ワン』のコンビニ強盗の場面が『タクシードライバー』にインスパイアされたものなのか、はたまたオマージュを捧げたものなのか、よくわからないけれども、一種の処刑人として夜のニューヨークを徘徊するジョディ・フォスターとロバート・デ・ニーロがダブって見えたのは確かである。
ニール・ジョーダンは、今回は雇われ監督に徹している。
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