『サラリーマン忠臣蔵』

忠臣蔵を高度経済成長期のサラリーマンものに翻案した、東宝“社長シリーズ”の一篇。赤穂物産の若社長を池辺良、彼を死に追いやり赤穂物産を牛耳る銀行家・吉良に東野英治郎、吉良に復讐する赤穂物産専務に森繁久弥という布陣。
主君(社長)に忠誠を誓う家臣(社員)が一致団結して敵(大株主である資本家)に報復するという構図が、忠臣蔵から二百年を隔てたサラリーマンものの世界にもぴったりなのがとても面白い。
現代劇だから刀もないし殺し合いもないのだけれど、外国の賓客の接待行事でのトラブルに端を発した遺恨が若社長の事故死に発展、これに憤慨した森繁久弥らが赤穂商事を飛び出して(ここまでが正編。これ以後が『続サラリーマン忠臣蔵』)新会社を興し、やがて株を買い戻して返り咲く、といったストーリーが何とも見事な脚色振り。脚本は笠原良三
池辺良の先代社長の遺影に河村黎吉(“社長シリーズ”の元祖である『三等重役』の社長役)の写真が飾ってあるのもご愛嬌。

サラリーマン忠臣蔵 正・続篇 [DVD]

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