『犬と私の10の約束』

チャップリンの『犬の生活』や往年の大ヒット作『南極物語』を挙げるまでもなく、人と犬にまつわる作品はまことに多いが、近年日本映画では、企画不足か、はたまた癒しを求める時代の風潮か、このジャンルの映画が頻出。
昔から“動物と赤ん坊には勝てない”といって、愛くるしい犬でも出しておけば観客の共感が得られやすいのは確かだと思うけれど、崔洋一監督作品『クイール』や『マリと子犬の物語』など、どれもなかなかあなどれない出来栄えである。
『犬と私の10の約束』も、出だしは少々ギクシャクするものの、中盤からは花嫁とその父親の物語をベースにして、手馴れたドラマ展開で飽きずに見ることができた。
主役のゴールデン・レトリバーの演技が達者。動物と共演するとワリを食うことが多いが、田中麗奈が意外にも(失礼!)好演。加瀬亮もひ弱そうな音楽青年が適役。