『野望の系列』

長い間見るチャンスがなかった作品。BSで深夜に放送されようやく見ることができた。
健康不安を抱える合衆国大統領のフランチョット・トーンが自らの政策継承者としてヘンリー・フォンダ国務長官に推挙する。
ところが、この人事に反対するチャールズ・ロートンたち保守派の上院議員は、公聴会を開いてフォンダがかつて共産党のシンパだったことを暴露する。フォンダを推すリベラル派は、これに対抗してまず反対派証人の偽証を暴露、次に、反対派に傾きつつあった公聴会の委員長ドン・マリーに、若い頃のスキャンダルをネタに脅しをかける。追い詰められた彼は自殺する。
決着は上院の採決にもちこまれ、賛否同数となる。この模様をラジオで聴いていた大統領が発作を起こし急死する。それまで影の薄かった副大統領(上院議長でもある)は、訃報を受け取るや、議決権を行使せずに自ら国務長官を選任すると宣言し、ホワイトハウスに向かう。
二時間二十分に及ぶ見ごたえのある政治ドラマ。公聴会でフォンダの過去や証人の偽証が暴かれたりするあたり、本作の数年前までアメリカで吹き荒れた赤狩りの暗い歴史を思い起こさせ、それゆえ、同じ上院を舞台にしていても『スミス都へ行く』の楽天性とは対照的に、まことに重厚で苦渋に満ちたムードである。
これが遺作になったチャールズ・ロートンが老獪な保守政治家を演じて見事。『ロッキー』のバージェス・メレディスも気弱な証人を演じて巧い。
他に『わが谷は緑なりき』のウォルター・ピジョン、『オーシャンと11人の仲間』のピーター・ローフォードなど個性派が勢ぞろい。フランク・シナトラも声だけの出演で楽しませてくれる。

わが谷は緑なりき [DVD] FRT-113

わが谷は緑なりき [DVD] FRT-113

オーシャンと11人の仲間 特別版 [DVD]

オーシャンと11人の仲間 特別版 [DVD]