ブラウン管で見る映画

『火垂るの墓』

意識的に長年見ることを避け続けてきた作品。きっと打ちのめされるに違いないとわかっていたから。地上波で放送されたのを機に、ついに見てしまった。やはり予感は的中した。 『火垂るの墓』は、“悲しい”などという通り一遍の言葉では表せない、厳粛で、崇高…

『天空の城ラピュタ』

地上波で放送されたのを久しぶりに見た。何度見てもワクワクする。宮崎駿の長編ではやっぱりこれが一番面白い。興奮させられる。これに比べると最近の作品はどうも観念的になりすぎてやしませんか? 初めて見たときから思っていたいくつかの印象。整理してみ…

『大列車作戦』

このところNHK-BSは面白い映画が続いている。 本作は、大昔、淀川長治大先生が解説をしておられた頃の日曜洋画劇場で見て以来。記録を調べたら一九七〇年に放送されていたので、なんと三十七年ぶりの再見ということに。 第二次大戦末期、ドイツ軍占領下のパ…

『野望の系列』

長い間見るチャンスがなかった作品。BSで深夜に放送されようやく見ることができた。 健康不安を抱える合衆国大統領のフランチョット・トーンが自らの政策継承者としてヘンリー・フォンダを国務長官に推挙する。 ところが、この人事に反対するチャールズ・ロ…

『ブリット』

高校生の冬、『シェーン』と2本立てでやっていたのを見た。もちろん『シェーン』も面白かったのだけれど、併映の本作にもとても興奮したのを覚えている。 NHK-BS/Hivisionで放送されたので、見た。 上院議員のロバート・ヴォーンは、政治的な宣伝効果を狙っ…

『二十四の瞳』

夕食を済ませてテレビを点けたら、ちょうど『二十四の瞳』を放送中だった。三分の二をすでに過ぎたあたりだったのでチャンネルを変えようと思ったが、ついつい引き込まれて最後まで見てしまった。再見は三十数年ぶりのこと。 瀬戸内海が眺望できる料理旅館の…

『ザッツ・エンタテイメントPART2』『ザッツ・ダンシング!』『ザッツ・エンタテインメントPART3』

『2』は、マルクス・ブラザースのコメディやキャサリン・ヘップバーン&スペンサー・トレイシーの共演作なども加えられていて、それなりに面白く大変貴重ではあるのだけれど、ミュージカル映画ファンとしては少々冗長なところがあり、正直不満が残った。 ジ…

『ザッツ・エンタテインメント』

NHKーBSで連続放映された『ザッツ・エンタテインメント(1〜3)』と『ザッツ・ダンシング!』を楽しんだ。疲れ果てた中年にこういう映画は本当にありがたい。 特に『1』は、三十年前に初めて見て以来、最も繰り返し見た映画。何度見ても豪華で楽しく…

『秀子の車掌さん』

CS某局で放送された成瀬巳喜男の『秀子の車掌さん』(昭和十六年)を見た。面白い! 山梨県の甲州街道沿いをおんぼろバスが走っている。運転手は藤原鎌足、車掌の“おこまさん”が高峰秀子(当時十七才。可愛い!)である。ライバル会社の新しいバスに客を奪…

『ティファニーで朝食を』

高校生の頃にリヴァイバルで見て以来三十数年ぶり。 ワケあって同居していた八歳年上の従兄の影響で小学生の時分から洋楽ばかりを聴いていた。TV『シャボン玉ホリデー』のエンディング・テーマにも使われていた“スターダスト”は大のお気に入りで、意味も分…

『セルピコ』

希望に燃えて警察学校を卒業したアル・パシーノがNY市警の現場に配属される。が、そこでは組織ぐるみで汚職が横行。警官たちは腐敗しきっている。賄賂を拒絶したパシーノは仲間はずれになり、脅しを受け、市警全体を相手に戦うことになる。捜査中に相棒の…