『大列車作戦』

このところNHK-BSは面白い映画が続いている。
本作は、大昔、淀川長治大先生が解説をしておられた頃の日曜洋画劇場で見て以来。記録を調べたら一九七〇年に放送されていたので、なんと三十七年ぶりの再見ということに。
第二次大戦末期、ドイツ軍占領下のパリ。絵画に造詣の深い独軍将校は、ルーヴル美術館が所蔵する絵画を根こそぎ列車でドイツに持ち去ろうとする。ドイツ軍に大勢の仲間たちを奪われていた機関士や駅長、線路工夫など鉄道員たちは、一致団結してこれを阻止しようとする。
鉄道員たちは、沿線の駅の看板を付け替えたりポイントを切り替えたりしてドイツ軍を欺き、列車を引き回して越境を阻む。この場面が実にスリリング。
レジスタンスに気づいたドイツ軍は鉄道員たちを見せしめに処刑するが、それでもリーダー格のバート・ランカスターは諦めず、最後には線路を外して列車を脱線させる。爆撃シーンなど一部を除いてすべて本物の列車を使っているから全篇もの凄い迫力である。
ドイツ軍将校は、列車がダメになると今度は敗走する自軍のトラックを制止し、負傷者を置き去りにして絵画を積み込もうとする。常軌を逸した上官の行動にドイツ軍もあきれ果てる。ひとり取り残されたドイツ軍将校をバート・ランカスターは射殺する。
ルノワールゴーギャンドガゴッホ、モディリアニ、ユトリロ・・・・いかに文化遺産を守るためとはいえ、大勢の鉄道員が犠牲になったことの不条理さ、空しさをにじませたラスト・シーンも見事。余韻が残る。
本作の二年後『わが命つきるとも』でアカデミー賞主演男優賞を受けるポール・スコフィールドが偏執的なドイツ軍将校役を力演。

日曜洋画劇場 40周年記念 淀川長治の名画解説 [DVD]

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