映画本

『黒澤明vs.ハリウッド』

黒澤明の『トラ・トラ・トラ!』監督解任事件は、日本映画史上の謎である。当時のキネマ旬報編集長・白井佳夫氏によるルポなど、事件の真相に迫ろうとする試みがまったくなかったわけではないが、物的資料が国内にあまり残されていないことや関係者の多くが…

和田誠さんの『シネマ今昔問答・望郷篇』を読む

和田誠さんの『シネマ今昔問答・望郷篇』(新書館)がめちゃくちゃ面白い。一昨年に出た『シネマ今昔問答』のいわば続篇で、和田さんが初めて見た映画のことや、総天然色映画、3D映画、初監督作品である『麻雀放浪記』、それに『快盗ルビイ』『真夜中まで』…

『時代劇ここにあり』をめぐって川本三郎さんを研究する

川本三郎さんが時代劇について語るのは意外な感じがする。しかし『時代劇ここにあり』(平凡社)は、まぎれもなく川本さん一流のマイナー志向、美学が徹底していて実に面白い。 繁栄する都会よりも鄙びた寒村、大通りではなく路地裏、勝利者より敗残者、颯爽…

『パッチギ!』

偶然本屋で見つけた『パッチギ! 対談篇』を読んだ。とても面白かった。 著者はシネカノン代表の李鳳宇(リ・ボンウ)さんと評論家の四方田犬彦氏。ふたりがそれぞれの生い立ちから青春時代を語り合う対談形式の本で、映画の話題は意外にも少ない。 ご存じの…

切通理作さんの『山田洋次の<世界>』

遅まきながら『山田洋次の<世界>』を読了。著者はキネマ旬報で「ピンク映画時評」を連載している切通理作さん。とても面白かった。読んでいると映画を見直したくなってくる。映画そのものより面白い批評が存在するということを立証してくれる本のひとつだ…